2013年10月20日日曜日

30代以下の営業パーソン

筆者は現在、30代後半だが、
いま、営業の一線で働いている人のうち、20代、30代の「若手」がかなりの比率を占めるはずだ。
バブル以降に青春を過ごした世代である。
「営業」という職種で考えると、この世代は不幸であり、ラッキーでもある。
不幸といったのは、経済全体が停滞しており、モノが売れない、という時代であることが一つ。
もう一つは、実は社内に「営業としての良い見本」が少ない、という点である。
同じ会社で「営業」といっても、上司や先輩が営業の一線で働いてた時とはかなり前提が違う。
営業の現場の方々と接していると、世代・年代による違いを感じることが多い。
(しかも、だいたい、どこの会社も同じような構造になっている)

50代以上のベテランには、昔ながらの体力、人間関係の
「勘と経験と根性」(3K)タイプが圧倒的に多い。
経済が右肩上がりに成長していた時代は、ある種、体力や人間関係の世界であった。
(たぶん)
この世代の人は自社商品についてよく知っているし、交渉力や押しも強い。
経済が伸びていたので、問屋と小売り、問屋とメーカーの間で、
その果実をいかにわけあうかが重要だったからである。
しかし、「得意先に対する提案を考えてください」というと、思考がストップする。
(そして、パソコンも苦手である。)

お兄さん、お姉さん世代の40代は、できる人はできるのだが、
失礼ながら、「中途半端で残念な人」が少なくない。
バブル崩壊以降に社会人になったが、先輩たちの多くは「イケイケどんどん」世代で、
「モノが売れない時代」への対応を誰も教えてくれなかった(推測)。
一方で、インターネットも十分には普及しておらず、
顧客を訪問し、カタログやチラシを持って商品・サービスを紹介する
ことにそれなりに意味があった

そこで、割とコツコツと得意先を訪問して、説明や先方からのオーダーはある程度
ソツなく対応できるが、こちらから「仕掛ける」ようなことは苦手なタイプが多いように思う。
そもそも環境的にモノが売れない時代でキャリアをスタートしてるいるので、
ベテランほど人間力に期待をしてもいない。

だから、今の20代や30代にとって、上司や先輩が、
十分な「見本」になりえるかというと、難しいケースが多いのである。
低成長、モノが売れない、デフレ、そして情報の流通コストが劇的に安い、
そういう環境は我々の上司や先輩の世代がかつて経験したことが
ないものなのである。


しかし、それだけに「営業」という仕事の面白味もかつてないほど、大きくなっている、
と言えると思う。
それが「ラッキー」といった意味である。

自分次第で、「普通にいったら、伸びない売上」が伸びたりする。
「商品を紹介する」だけでは売れないので、「企画」や「提案」が大事になっている。
その分の、個人の努力・工夫の余地も大きい。クリエイティビティが発揮できる。

PBの提案やビジネススキーム自体の提案など、
「商品を紹介する」以上に、社内を巻き込んで、「プロデューサー」や
「プロジェクトリーダー」的な仕事もできたりする。

条件の交渉ではなく、
「いかに、パートナーとして共同でビジネス成果を出せるか」
という得意先との前向きな議論に時間がさける。
顧客側も、「売れない(伸びない)のが普通」なので、
売れる企画を提案され、それが成果に結びつくと本気で感謝してくれる。

(売れた時代は誰のおかげで売れているのか、よくわからない)

要は、そういう
「普通にしていたら、全然売れないけど、やりようによってはちゃんと売れる」
という環境を楽しめるか
どうかだと思う。
同じ仕事をやるなら、楽しまなければ損である。

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