2013年10月9日水曜日

営業とはクリエイティブな仕事である(2)

情報の流通コストが劇的に下がり、
ビジネス成果を創造するクリエイティビティこそが営業に求められる
ものになっている。

余談だが、この話の文脈で、私が職業としての先行きを心配する
業種の一つが製薬業界のMRである。
その名も「医薬情報担当者であり、医師を訪問して、
医薬品に品質、有効性、安全性に関する情報を提供したり、
収集したりする仕事
である、とされる。
要するに、ドクターに対して、自社の薬の採用をあの手この手で働きかける仕事なわけだが、
表向きの「情報提供」という部分に関して言えば、
情報の流通コストの劇的な低下のあおりをモロに受けそうである。
「情報の伝達」という手段だけに注目すれば、「人」ほど
高コストのチャネルはないからだ


医師向けのポータルを運営する超高収益企業エムスリーの決算資料(2012年度)に、
これの裏付けとなる面白いデータが載っていた。
製薬業界側がかけるマーケティングコストのうち、
MRにかかわるものは、実に1兆4,000億円で92%を占める。
国内6万人と言われ、その多くが高給取りであるので、納得の数字である。
一方、医師側が情報収集をどのような手段で行っているかを
「時間」でみたときに、上位が学会・研究会・雑誌などで44%、
ついで、インターネット39%、MRからは何とわずかに17%に過ぎないらしい。
詳しくはこちらの9ページ
http://corporate.m3.com/ir/library/presentation/pdf/20130425_03.pdf

あくまで「時間」なので、その少ない面談時間の「濃さ」はあるだろうが、
MRという仕組み自体が、効率的でないのは誰の目にも明らかである。
今のところ、
「エムスリーのMR君を活用する代わりにMR人財を大量整理」
みたいな製薬会社はないようだが・・・。
そもそも利益率が高い製薬会社だからこそ、
これだけの人員を抱えていられる、ということなのだろう。
10年後に「データサイエンティスト」なる職業が普及しているかどうかも
あやしいが、MRという職業が今と同じくらいの規模で存在しているかどうかも
謎であるかもしれない。

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