2013年11月15日金曜日

これからの営業は「売り込み」ではなく、「お役立ち」

「営業」というと、モノ・サービスを売る仕事である。

営業担当者自身でも「今月も『売り込んで』、ノルマあげなけきゃ」と日々、走り回っている
人は多いと思う。

しかし、これからの営業担当者のマインド・心の持ちようとして、「売り込み」という
発想は捨てたほうがいいのではないかと思う。
「売り込み」というと、自社の売上や利益をあげるために、
「余分なものを買わせる」「ちょっとでも多く買ってもらう」といった、どちらかというと
顧客・取引先の「不利益」につながるネガティブなイメージがある。

実際、「売り込もう」と思って営業活動をしている人は結果として、売上や利益を
あげられないことが多い。
一つには、顧客・取引先から「売込み光線」を見透かされるからだ。
売込み姿勢が目立つと、「こいつ、また、自分のところの都合で商談に来たな」と思われて、
そもそも、きちんとした信頼関係を築くことが難しい。
もう一つは、実際に顧客・取引先がビジネスとしての成果を上げられないからでもある。
消費財メーカーの小売り店への営業を考えるとわかりやすいが、「売り込もう」と思っている
担当者は、商品の導入が決まり、自社の売上が立った時点で、「よし!売込み完了!」と
思っているので、その先にあまり気を配らない。入荷した商品が回転していなかったとしても、
置き場所を変えるなり、POPなどの販促で、なんとか小売店で消費者に手に取ってもらような
施策を考える、ということがおろそかになる。

逆に、営業活動で成果を上げている人は、
「いかに自社の商品・サービスを手段(ツール)として、顧客・取引先のビジネスに役立つか」
という「お役立ち」の発想で仕事をしている。
焦点は、顧客・取引先のビジネス成果である。
これを「本気」で考えられるかどうか、が極めて重要だ。

上記の消費財メーカーの小売店への営業でいえば、自社の商品の売上の限らず、
担当する小売り店の棚(カテゴリー)全体の売上や利益を上げることを「真剣に」考えている。
「ちょっとこの棚の棚割り考えてみてよ」と顧客・得意先に言われたときに、
(こういってもらえるまでが、実際、大変なのだが・・・)
いかにして、その棚の成果を最大にするかを考え、提案する。
自社の都合を考えれば、自社商品で埋め尽くせばいい。
が、よっぽどのメーカーでない限り、自社の「3番手、4番手」の商品よりも、
他社の売れ筋を入れたほうが、棚としての成果は高まる。
こういうときに、ギリギリまで自社の商品も入れつつ、他社の売れ筋も入れた提案ができるか
どうかが、継続的に営業で成果あげられるかどうかの分かれ目だ。

昔ならともかく、今は「成果・結果はシビアに数字で出る」ということを忘れてはならない。
そう、おそらく、POSも普及していないような高度成長期は「売込んで」おいても、モノは売れたし、
その結果をギリギリ問われることもなかったのだろう。
「カテゴリー単位の売上・回転」なんてものは雰囲気でしかわからなかったのだから。
今は、売っているものがなにであれ、「導入後の効果」が厳しく問われるのが当たり前なのである。

顧客・得意先のビジネス成果を一番に考える、といっても、なんでもかんでも
顧客の要求通りにするとか、自社の利益を犠牲にせよ、といっているのではない。
極端な話、値引きして売れば、顧客の利益になる。
しかし、あくまでこれは短期の話だ。「特別条件」みたいな話は一時的には可能でも
長くは続かない。
だいいち、値下げして売上を上げるなんてことは、バカでもできる。
いかに、自社の利益を削らずに、顧客・得意先の成果を最大化できるかに
「知恵」を使う必要があるのだ。

なお、これは姿勢の問題なので、「売り込み」を「提案」という言葉に変えても、
中身が一方的な自社都合でのPRになっていたら同じだ。
「当社の新商品なので、ご提案します」
「ただいま、キャンペーン中なので、ご提案します」
というのは、典型的な「売込み」である。

そうではなく、いかに自社の商品を使って、顧客・得意先のビジネスに「お役立ち」ができるか。
いかにしてお客様のビジネス成果を大きくできるか、その発想が大事だ。
これは顧客・得意先の担当者と目線・ゴールをそろえる、ということでもある。
ゴールが一つになり、ベクトルがそろえば、商談の場でともに戦う「同志」として、
議論できるようになる。
「売込みばっかりで面倒くさいヤツ」と思われるか、
「何かうちにトクになる話を持ってきてくれる、一緒に話ができるパートナー」
と思われるか、それは、姿勢次第なのである。
成果が出れば、得意先に感謝もされる。
目の前の人に喜ばれたり、感謝されれば、仕事は断然、楽しくなるものだ。

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